[osamushi 7665] BJ第56話感想
Date: Sat, 24 Jun 2000 01:28:41 +0900

 みなさんこんばんは。金沢みやおです。

 「ふたりの黒い医者」

 ドクター・キリコ初登場、と長らく思い込んでいたエピソードがやってきま
 した。2度目の登場でした。

 何度もシリーズを読み返しているので、「キリコもけっこういいヤツじゃん」
 などと思ってしまいますが、本編で、死に近づきつつあるお母さんを見つめる
 キリコの目の輝きはやはり尋常ではない!。自分の手にかかって、一人の人間
 が死んで行くのをじっくりとながめる事に快感を感じているらしい。
 「俺は人助けをやってるんだ。感謝されているんだ。」と自己弁護しているが、
 キリコ、あんた本当は自分の快楽のためにやってるんじゃあないのかぁ?。
 やっぱりあんたって男は、ぜってーやべーよ、キリコ!。
 
 「生き物は死ぬときには自然に死ぬもんだ」
 「人間だけが無理に生きさせようとする。どっちが正しいかねBJ」
 とも言っているが、これもちょっと・・・。
 BJは無理にでも生きさせようとする。でもキリコも「自然に死ぬ」のを待た
 ず手を貸して「無理に死なせようと」しているにすぎない。二人のベクトルが
 ちがうだけで、自然の流れに介入していることでは同じ。二人はまさに鏡像だ。

          生 ←←← 患者 →→→ 死
               |       |
             BJの    キリコの
             ベクトル   ベクトル

 しかし、BJの奇跡の腕前もキリコの不屈の信念もなんらかえりみることなく、
 運命の、あるいは偶然の神は、親子もろともにその命を、きまぐれに無感動に
 奪い去った。愕然とするBJ。BJの徒労をあざ笑うキリコ。
 二人の意思・努力・理想とは無関係に世界は勝手に動いて行く。二人が何をし
 ようとも、死ぬものは死に、生きるものは生きる・・・。

 諸行無常。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
 本作のテーマは「諸行無常」だ。そう決めた!。
 そう考えると、今回の舞台が神社仏閣の多い京都なのもうなずけるような気が
 するな。


[osamushi 7668] BJ 感想第 56 話
Date: Sat, 24 Jun 2000 23:27:21 +0900 (JST)

 今晩は。虫媒花です。

 「遅刻っ!、遅刻よーっ!」
 バタバタバタ・・・・!

 と、駆け込んできた雰囲気で・・・・
 すいません、皆様、読んでください。

 つっても・・・
 さすがの金沢さんが先に、私の書きたいことを、より上手に
すーっかり書いてくださってしまいました。
 他の「感想文常連」のかたにも、プレッシャーだと思います。
 罪よ、金沢さんてば! (^o^)

しかも、

>  みなさんこんばんは。金沢みやおです。
>  「ふたりの黒い医者」
>  ドクター・キリコ初登場、と長らく思い込んでいたエピソードがやってきま
>  した。2度目の登場でした。

 と、いうわけで、今回はエピソード自体が、BJのひとつの山場みたいな
ものでもあり、プレッシャーは2倍です。
 どないしょ!

 個人的な話から持っていって、ハズしぎみにカーブしてから核心に
向かおうかな?・・・(笑)。うーん・・・

 ええーとー。
 私は、死ぬのはそんなに怖いとは思いません。ただ、死に至るまでの
苦しみ、これはいやですね。死ぬほどイヤです。

 だから、どっちかっていうと、キリコみたいな人がいたら、依頼して
しまうかもしれない側です(絶対、頼まないって人もいらっしゃるでしょう
から)

 けれど、いくら覚悟を決めていても、一生に一度の、死ぬのに忙しい
ときに、キリコの、うっとおしい顔が横にあって、金沢さんのおっしゃる
ところの

>  キリコ、あんた本当は自分の快楽のためにやってるんじゃあないのかぁ?。
>  やっぱりあんたって男は、ぜってーやべーよ、キリコ!。

 という感じで見守られてたら、気が散って気が散って、もう死ぬほど
嫌いよ、よそ行って! と言ってしまうのじゃないかと思います。
 実に、ありがたくないですよねえ。

 で。それから・・・

 このエピソードは、実は「生きること」をも描いているんですよね。
(医療に従事している人にとっての「生かすこと」も描いているけど)

 ラストのBJの有名な「それでも私は、人をなおすんだっ。自分が
生きるために!!」というセリフ・・・これなんですけど。
このセリフにおいて、「生きる」とは、医学的・生理学的・生物学的な
「生きる」ことではないですよね?

 お医者さん自身が、生きるため、と言ったら、生活の糧、つまり収入を得る
ことも含まれるでしょうけど。でも、BJが、ただお金を稼ぐだけのために
治療をしているのでないことは、今までの話の中でさんざん読んできたとおり
です。

 で・・・
 ここで、前回の「ストラディバリウス」の話が、からむ。
 モロゾフ氏は、彼の指を救えなかったBJに、ビターなチョコのような、
次のセリフを浴びせました。
「自分が生きるためには、大事なものは、いつも身からはなさぬこと
ですて・・・たとえば、先生にとっては手術器具でしょうな・・・」

 と。ここにも「自分が生きるため」という語句が出てきます。
 バイオリンはサバイバルグッズとは違いますから、ここでモロゾフ氏の
言う「生きるため」とは、ただ「生命を守るため」でないことは明らか
です。
 「自分」とは、「自分らしい自分」であり「真価を発揮する自分」のこと
でしょう(「価値ある自分」かもしれない)。

ひょっとするとBJは、エスキモー村で、苦くてコクのあるチョコのごとき
(私もひつこいな)モロゾフ氏のセリフに教えられ、
「そうだ私は、自分が自分らしく生きるために、自分の価値を表すために、
人を直しているんだ」
と改めて気づかされたんじゃないでしょうか?

 ああ、実は、55話と56話は、つながっていたのですよ、皆様!
(というか、手塚先生の構想が、近いところにあった、というべき
でしょうか)
とにかく、たった1週前のことですからね。
 ・・・1週間は短いんだわ、ほんと。(T-T)しくしく・・・

   田島加代子(風媒花・虫媒花)


[osamushi 7669] BJ 56話 感想
Date: Sat, 24 Jun 2000 23:58:08 +0900

薮内です。

第56話 「ふたりの黒い医者」 

ドクターキリコの提案した死に方で電流により
音楽を聴くような感じで、神経が麻痺して呼吸が止まるなんて
見ていると、チャールトン・ヘストン主演の「ソイレント・グリーン」
とか言った映画の中で荒れた近(遠)未来、副主人公が
支給される人口食糧の正体(人間の死体を元に食料が作られる)
に気づき、自らも尊厳死?を選択した結果、おいしい本物の材料
の食事とワインを楽しみ、360度スクリーンに映し出される美しき地球を
見ながら薬の作用で死んでいくシーンを思い出します。

手塚先生はどのような死に方を理想と考えておられたか
聞いてみたかったですね。

 薮内 覚


[osamushi 7671] re:BJ 感想第 56話
Date: Sun, 25 Jun 2000 01:17:41 +0900

虫媒花さん、みなさん今晩は。金沢みやおです。

> 他の「感想文常連」のかたにも、プレッシャーだと思います。
> 罪よ、金沢さんてば! (^o^)

おほっ?、これはお褒めのお言葉ですね?。恐縮です〜。ありがたいです〜。
ぬっほっほっほ、人様にプレッシャーを与えられるようになったとは、我が輩も
成長したもんじゃの〜、ぶわっはっはっは>ってエバるな>自分。

勤務中に56話の事を考えていたところふいに、諸行無常、祇園精舎の鐘の声、
を思いついてですね、祇園→京都、やった!、なぜ京都なのか分かった!、これ
で一本書けるぜぃ!。と帰宅するやいなやパソコンを立ち上げ書き出した、ので
すが。途中で「祇園精舎の祇園は、京都の祇園じゃなくて、インドかネパールか
とにかく国外の仏教ゆかりの地じゃなかったか?」と気がつき、しりすぼみに
なりつつできたのがアレです。
(というか、仕事中は仕事しろよな>自分。)
ところで、

> ラストのBJの有名な「それでも私は、人をなおすんだっ。自分が
>生きるために!!」というセリフ・・・これなんですけど。

私正直言って、このセリフどうも腑に落ちず、前の感想文でも触れることができ
ませんでした。

>「それでも私は、人をなおすんだっ」
これは分かる。BJのベクトルは常に生に向いている。

>「自分が生きるために!!」
これが良く分かりませんでした。
なぜ急にBJはこのシーンでこんなことを言うのか。大見得を切り芝居がかりで。
たしかにBJは、金ずくで我欲のために大金を取る、ように格好をつけてますが、
これまでシリーズを読んできた私は、むしろ他者を生かすために奮闘するBJの
事を知っています。それなのに、それと大きく反するようなことを、わざわざ宿敵
のキリコに向かって、なぜ宣言するのか。このセリフだけすごく違和感があって、
浮いたセリフ、とってつけたセリフ、感動押し売りのセリフ(うわ〜)に見えてし
かたありませんでした。

> ひょっとするとBJは、エスキモー村で、苦くてコクのあるチョコのごとき
>(私もひつこいな)モロゾフ氏のセリフに教えられ、
>「そうだ私は、自分が自分らしく生きるために、自分の価値を表すために、
>人を直しているんだ」
>と改めて気づかされたんじゃないでしょうか?

・・・う〜むなるほど。そういう読み方ができますね〜。これは虫媒花さん、
参りました。
そうすると、BJのセリフに勝手に注釈を入れると、

「それでも私は、人をなおすんだっ」
「無駄でもなんでも人をなおすんだっ。
 この手で人を生かして、自分も生きるんだっ。
 文句あるか、このすっとこどっこい!」

うむ。これならわかる。手塚先生〜、これくらい過剰に説明してもらわないと
わかんないですよ私には〜。


[osamushi 7673] RE: BJ 56話 感想
Date: Sun, 25 Jun 2000 17:26:06 +0900

佐藤@流山です。

>薮内です。
>音楽を聴くような感じで、神経が麻痺して呼吸が止まるなんて
>見ていると、チャールトン・ヘストン主演の「ソイレント・グリーン」
>とか言った映画の中で荒れた近(遠)未来、副主人公が
>支給される人口食糧の正体(人間の死体を元に食料が作られる)
>に気づき、自らも尊厳死?を選択した結果、おいしい本物の材料
>の食事とワインを楽しみ、360度スクリーンに映し出される美しき地球を
>見ながら薬の作用で死んでいくシーンを思い出します。

その場面、覚えてます。
グリークの「ペール・ギュント」の「朝」がながれてたのが印象的でした。


[osamushi 7678] Re: BJ 感想第 56話
Date: Tue, 27 Jun 2000 01:00:54 +0900 (JST)

 今晩は。虫媒花でーす!

> 虫媒花さん、みなさん今晩は。金沢みやおです。

 金沢さん、即レスありがとうございました!
(ミュージカルの速報も、どーもです。行けないけど・・・)(T-T)

> 「それでも私は、人をなおすんだっ」
> 「無駄でもなんでも人をなおすんだっ。
>  この手で人を生かして、自分も生きるんだっ。
>  文句あるか、このすっとこどっこい!」

 きゃはは・・!
 すっとこどっこい、と言われたキリコの顔が見たかったっ!

 ♯前のメール、エスキモー村なんて、書いちゃいました。
  いけませんでした。すみません・・・
(もとはと言えば、文庫が悪いのよ、文庫が)
(ストラディバリウスの話と、ふたりの黒い医者の話を、別に載せる
から、セリフの意味が通じなくなるし・・・編集が悪い、編集が。
 あ、編集のかた、見ていらしたら、ごめんなさいでした!)

  田島加代子(風媒花・虫媒花)


[osamushi 7681] BJ  第 56 話 出演キャラリスト
Date: Wed, 28 Jun 2000 18:21:09 +0900

おがわです。今回はだいぶ遅刻気味。

BJ 第56話 「ふたりの黒い医者」 出演キャラクターリスト(出演順)

  ブラック・ジャック・・・・・・・・・・・ブラック・ジャック
  ピノコ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピノコ
  キリコ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キリコ
  スパイダー・・・・・・・・・・・・・・・・?
  ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・母親
  大僧官・・・・・・・・・・・・・・・・・・・医師
  ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少年
  ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少女

母親と二人の子供はわかりませんでした。
どなたか気づいた方がおられましたら、教えてください。
病院長らしき医師は「0マン」の大僧官。また人外の医師の例が。

おがわさとし


[osamushi 7687] BJ 56 話 感想
Date: Fri, 30 Jun 2000 07:14:22 +0900

しんどうです。
久々にBJの感想を。。。しかしやっぱり遅刻してしまいました。

第56話 ふたりの黒い医者

この話。最後の最後にせっかく助かった親子をあっさり殺してし
まうあたりがいかにも手塚先生だと思ってしまいます。

理想の死に方ですが、よく酔っぱらっての凍死が一番気持ちよく
死ねると言われていますよね。確かに適度に酔っぱらっていると
きには、これって本当かもしれないとか思ってしまいます。

それでは

進藤哲央


[osamushi 8547] BJ 第56話 感想
Date: Sat, 28 Oct 2000 22:54:31 +0900

宮川です。

BJ 第56話 「ふたりの黒い医師」 感想

BJとキリコの対決。
BJとキリコのキャラクターの対照は、色々な意味で味があります。
「ふたりの黒い医師」のラストのドン天返しは、考えさせられる所です。
P67.3・5コマ目の台詞の所、オリジナルは手書き。

<補足>

・チャンピオンコミックスの昭和版・平成版、変更なし。

・週間チャンピオン連載時の刷り色、藍一色。ページ数、P18。
 ページ割り、扉表紙、P81.本文−P82〜P98。
 発行日、75.01.06.

Takehisa Miyagawa


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